不動産投資のはなし(2)―”収益還元法と3つの家賃”

投稿時間 : 2011年06月15日 15:33

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Photo:本年3月に竣工した「カラーアズS」 募集と同時に満室となりました。

みなさんは『収益還元法』という言葉をご存じでしょうか。

不動産の価格を決める考え方(計算方法)のひとつなのですが、不動産投資を考えるうえで理解しておく必要のある事柄です。


不動産の価格を算出する方法は3つあるといわれています。

1つ目が「売買事例比較法」です。これは、周辺の土地売買価格などを参考に価格を決める方法です。わかりやすくいえば「隣の土地が坪100万円で売れたから、私の土地も坪100万円で売る」ということです。日本では、従来この方法が一般的でした。

2つ目が「原価法(再調達法)」です。主に建物の価格を決める方法なのですが、今現在、同じ建物を建て直す場合にかかる建築費から、古くなって価値のなくなった分を割り引くという考え方です。火災保険に加入するときなどは、この方法で建物の価格を決めます。

3つ目が「収益還元法」です。これは、主にその不動産からあがる収益(家賃収入)から価格を算出する方法です。事業用不動産の価格はこの方法を用います。

我が国は今、少子高齢化社会となり、経済は依然としてデフレが続く苦境のなかにあります。この社会状況に押されるように、不動産も利用価値(家賃収入)を重視する傾向になってきました。これからは家賃収入から価格を算出する収益還元法の考え方が重要になっていくと思います。

下のイラストをご覧ください。これは収益還元法のイメージです。

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ライトによって照らし出された「家賃収入くん」。彼の身長に比例してぐーんと伸びた影が「不動産価格」です。もし「家賃収入くん」の背がもっと低ければ、影(不動産価格)はもっと小さくなり、高ければ大きくなります。

つまり「不動産の価格は家賃収入によって決まる」のです。

収益還元価値の計算式は「家賃収入÷利回り」です。
たとえば、月額の家賃が1部屋5万円×6室で30万円(年額家賃360万円)のアパート場合、利回りを8%とすると、
360万円÷0.08=4,500万円
となり、4,500万円が収益還元価格、つまり不動産の適正価格となるのです。

収益還元法についてはご理解いただけましたでしょうか。ここでさらにもうひとつ、覚えていただきたいことがあります。

それは「3つの家賃」です。

当然ですが、さきほどの計算式のなかで「家賃収入」の数字が変動したら、収益還元価格も変わってきますね。ここがポイントです。

家賃には「想定家賃(満室状態を想定した家賃)」と「実収入家賃(実際に手に入る家賃)」それに「手取り家賃(実収入から諸経費を引いた家賃)」の3種類があるのです。

たとえば、ある売りアパートの広告に「利回り10%」とうたってあったとします。

でもそれが想定家賃だったとしたら、実収入家賃は8%、手取り家賃は6%かもしれません。10%と6%では収益還元価格に大きな開きがでてきます。

もし、賃貸住宅による不動産投資をお考えになるなら、広告にある「利回り」が3つの家賃のうちどれを基準にしているのかをきちんと把握する必要があるのです。

今回のテーマを踏まえて、次回はアミックスが実際に手がけた不動産投資の実例をご紹介いたします。

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